新発売時に沢山の注文をいただく。これがラバーという商品の特徴である。 
「どんなラバーなんだろう?」というユーザーの期待感で購入することが多いからである。 
しかし、ロングセラーになるラバーは少ない。 
 
今回の主役は、卓球の魅力にとりつかれた一人の選手。 
少年から青年へ移り変わるなかで出会った一枚のラバーそれがフュージョン。 
一時は、生涯フュージョンとまで思った。しかし、自分自身の技術進歩によって手放さなければならなくなる。 
一度は「卓球を辞めてしまおうか」とまで悩んだ結果、やはり戻ってきたラバーは・・・。 
最後には、選手の声がジャスポを動かし、そしてメーカーをも動かしてしまう。 
 
 
鈴下和也君(16歳)、3歳年上の兄の影響で中学入学と同時に卓球部に所属した。 
小学生時代には別段目立つ存在でもなく、クラスでは物静かなどちらかというと“消極的な男の子”といった感じ。それは今でも変わりはない。 
しかし、友達は「和也は変わった」と口を揃えて言う。 
その理由はプレースタイルにある、ラケットを持ち卓球台についた和也はまるで別人でリスクを背負いドライブで相手を攻め込み、大きなガッツポーズと威勢の良い声で相手を威圧し勝利していたからである。 
和也は卓球というスポーツに惹きつけられると同時に道具に対して強いこだわりを持つようになる。 
ラケット、ラバーの手入れから始まり、メーカーカタログを片手に次に使用するラバーをあれこれと思案するようになった。
  
 
  
卓球を始めて1年が過ぎ、ラケット数本、10数枚というラバーを試し、一様に今の道具へ不満を持っていたわけでもなかった。 
ある日、クラブチームの憧れの先輩から「和也このラバーやるよ」と一枚のラバーを貰った。 
この一枚の出会いが、和也の卓球人生を大きく変えるであろうことは今は知るよしもない。 
先輩が使い古したフュージョンは、お世辞にも綺麗とは言えない状態だったが、憧れの先輩が使っていたラバーということで、「早速、明日にでも使ってみるか」という、はやる気持ちを抑え自分のラバーを剥がし床についた。 
 
翌日、いつものような朝を向かえ、いつもの通学路を通り、いつも変わらぬ友達と、いつものような時間を過ごしている。 
ただ、一つ違うのはカバンの中で静かにセルロイドボールを待つフュージョンがいるのだ。 
キーン・コーン・カーン・コーン、6時間目が終わるチャイムの音と同時に和也の気持ちは高まっていく「よ〜し!今日も部活やんぞー」 
部室に入り、友達との談笑もそこそこでグルーイングを行い、卓球場へ向かう。 
今日はいつも以上に気合を入れてグルーイングした。それは憧れの先輩から貰ったフュージョンだからだ。 
初球のフォア打ちで「なんだッ!この飛びは?!」前日までとは完全に違う、鋭いスピードドライブと心地良い打球感・打球音がそこにいた。 
「これは、本当に俺の打球なのか?」「先輩のラバーだからそう感じるのか?」 しかし、疑う余地はどこにもない、何本、何十本打っても打球が違う、いつもの練習相手(ライバル)が格下に思える。 
その光景は異様なものだっただろう、相手がまったく打ち返せていないにも関わらず、手を抜くことなく厳しいボールを打ち続けているのだから。 
フュージョンに出会ったことで、和也の卓球への思いは一層強いものとなり、卒業まで他ラバーへ浮気しなかった。 
和也は、中学2年半で、市内大会優勝、県大会でもベスト4に入る実力を付けていた。 
その影にはフュージョンとの出会いがあったことは、和也が一番良くわかっている。
  
 
  
その後、和也は地元で卓球が強いと評判の高校に入学。 
選んだ部活動はもちろん卓球部である。 
高校生になって間もなく、初めての大会に出場した。結果は1回戦負け。 
何本ドライブを打っても止められてしまう。相手のパワードライブに力負けしてしまう。 
和也は敗因を探すが、見当たらない。相手のボールに付いていけていないわけではない。 
原因が解らない・・・。負けた原因が自分の技術にあるのならば納得がいく、練習をしてもっと強くなればいいだけだ、和也はフュージョンの性能を自分自身が追い越していることを実感し始める。 
闘うステージが上がると、必然的に軟らかいラバーは不利になる。 
なぜか、対戦相手のボールの威力や自分自身のスイングパワーに対して、軟質ラバーでは弾き返す力がなくなってしまう。 
 
 
 
 
 
監督やコーチと相談しながら、和也に合った硬質ラバーを何枚と試したがイメージが合わない。 
選手という人種は、どこまでもわがままで、どこまでも貪欲だ。 
自分のプレーが思い通りにいく道具を追い求めている。 
しかし、次から次へと大会は開催される、ランキングを落とさないためにも欠場するわけにはいかない。 
自分の使用するラバーすらも決まらないまま大会に出場することと、中学時代に県大会でベスト4にまで入っている実績が試合会場で二重のプレッシャーとなり和也に圧し掛かる。 
そんな精神状態で良い結果を残せるほど卓球競技は甘くないのだ。 
 
  
 
「本当に卓球を辞めようかと思った」と、今、笑って話をする和也。 
話をする和也の横にあるラケットにはフュージョンが貼ってある。 
新人戦を控えた和也は、今までの幼さが残る柔らかな軌道を描くドライブから、より直線的で威圧感のあるパワードライブを放っている。 
それは、中学時代に初めてフュージョンを貼ったあの日を思い出させる。 
和也は新人戦を控えている。これ以上、練習の邪魔はできない。
 
 
さて、同じフュージョンで何故?こんなにも違いがあるのだろう。 
見た目には同じフュージョンでもスポンジがまったく違うのである。 
通常フュージョンのスポンジ高度は「35」 
しかし、和也のフュージョンはスポンジ高度「45」という特注で作られたもの。 
ラバーというものは、プレーに大きな影響を与えることは誰もが認めている。 
プレーヤーが上達を目指すのならば尚更で、上達に合わせて道具もパワーアップさせていくの通常だ。 
それでは「スポンジを硬くすればパワーアップになる」かというと、そんな単純な問題ではありません。 
フュージョンの良さが「独特の軟質スポンジ」だと感じている人は多いようだが、トップシートの完成度の高さは意外にも知られていない。 
スポンジとトップシートの相性がとても大切ということです。 
トップシートの役目は、ボールへの回転影響が一番でしょう、和也の場合にはフュージョン以外のトップシート感覚は絶対に受け入れられなかったわけだ。 
 
今回はYASAKAさんとの綿密な打ち合わせの結果「スポンジ硬度45」というパワーアップバージョンを作成することができたのです。 
スポンジ硬度45は『攻撃面だけでなく、守備技術に置いても、今までのフュージョンを大きく上回る性能を発揮している』と和也は喜んでいます。 
フュージョンを気に入っていて、自分自身のパワーアップのためやむなく他のラバーに乗り換えた選手がいましたら、このラバーの存在を教えてあげてください。 
近日中に試打を行い最終結論をだします。(2006/10/22) 
  
フュージョン(スポンジ硬度45)(赤/特厚)はこちらのページから購入可能です。
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