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●ジャスポの最終結論
使用したラケットはクリッパーウッド(STIGA)です。
木材ラケットでは最高級の攻撃力と木材ならではの扱いやすさを両立させたラケットです。
ボールにもっと威力は出したいが、
特殊素材は苦手だという攻撃重視のハードヒッターにオススメの一本です。
■はじめに
いまや、紅双喜の天極、キョウヒョウシリーズとともに
中国ラバーの代名詞となっている、海夫の藍鯨U。
これまでに、ノーマル版、己打底版、ピンクラベル、グリーンラベルなど、 様々な種類の藍鯨Uが発売され、そのたびに大人気になってきました。
今回限定発売された国チーム用は、名前の通り、国家チーム用に作られたラバーであり、
その性能の高さは疑いようもありません!
これまでの藍鯨と比べて、実際どうなのか!?
徹底的に検証したいと思います!
■ドライブのスピード・回転量・コントロール性について
まずは、フォア打ちから…。
おぉ〜、飛びますね!
初めて藍鯨Uを打ったときにも、
その飛びに驚きましたがこの国チーム用はそれ以上です。
もちろん、中国ラバーらしいねっとりとした球持ちの良さはありますが、
その打球感を除けば、完全にテンションラバーと同じ飛び具合です。
しかし、それ以上に驚いたのが、その打球音!
フォア打ちの段階で明らかに金属音が…
もちろん、補助剤を塗ってないのに…
中国ラバーなのに…
なぜ!?
まさか、また中国ラバーから金属音が鳴る日が来るとは。
柔軟性を増したスポンジのおかげなのか?
新しい接着技術のおかげなのか?
理由はわかりませんが、とにかく気持ちいい!!
もちろん、音だけではありません。
ドライブもこれまでの藍鯨に比べ明らかにパワーアップしています!
まずは、スピード。
フォルテシモやロクソンシリーズ、ブライススピードのようなスピードを
追求したラバーには劣りますが、中国ラバー史上最高と言えるスピードが出ます。
そのスピードは、グルー時代の中国ラバーにも勝っているかもしれません。
当然、そんじょそこらのテンションラバーと打ち合っても、まったく負ける気がしません。
前陣はもちろん、中陣からでもパワフルなドライブを
打つことができ、まさに死角なしです。
次に、回転。
トップシートの粘着力がやや強くなっていることもあり、
回転のかかり具合が尋常ではない!
実際、ブロックをしていた相手が「重い」「抑えきれない」と言い、ミスを連発していました。
藍鯨U(ノーマル)のボールは、これまでの中国ラバーに比べ、
スピードが出る分、やや回転量が減少しており、ボールの重さも減少してしまっていました。
スピード能力を上げようとすると、どうしてもスピン能力が犠牲になりがちですが、
この藍鯨U(国チーム用)は、藍鯨Uよりもスピードが出るようになっているにもかかわらず、
回転量もアップするという奇跡の進化をとげています!!
もちろん、天極UやキョウヒョウUのように藍鯨U(国チーム用)よりも粘着力が強く、
回転のかかるラバーはあります。
しかし、個人的にはこの藍鯨U(国チーム用)の粘着の強さあたりが、
微粘着のMAX値ではないかと思います。
なぜならば、これ以上粘着力が強くなると、確実にスピードが犠牲になるからです。
スピードを犠牲にすることなくスピンを求めた1つの結論が、
この藍鯨U(国チーム用)ではないかと思います。
さらなるスピードを求める人はかっとびテンションラバーを、
さらなるスピンを求める人は強粘着ラバーを使用すれば良いと思いますが、
バランスという点では、この藍鯨U(国チーム用)か、
バタフライのテナジーシリーズかに集約されてくると思います。
最後にコントロール。
適度な粘着力があるおかげで球持ちが良く、
ボールを自在にコントロールすることができました。
もちろん、ドライブの変化もつけやすく、
横回転を入れたドライブでは、相手をコートの端へと振り回し、
ボールの上を擦ったドライブでは、相手が空振りするほどボールが沈み、
食い込ませて打ったボールでは、相手が詰まるほどの「伸び」があり、
思い切り回転をかけたループドライブでは、相手のブロックを吹き飛ばす、
という自在性の高さは圧巻でした!!
シートがボールをつかんでくれるため、適当に振っても軌跡が弧線を描き、
ネットミスをする気配がないくらいでした。
逆に、思った以上にボールが飛ぶため、オーバーミスには注意が必要です。
また、以前までの藍鯨に比べ、食い込みの良さが明らかにアップしています。
「少し硬めのテンションラバー」という感覚で扱っても、まったく違和感がありませんでした。
シートの粘着力とスポンジの食い込みのよさがマッチして、
コントロールの良さや変化のつけやすさを生み出しているのだと思います。
スマッシュは粘着力が強くなったため、これまでのシリーズに比べやや、やりにくくなっています。
球を持ってしまうため、インパクトしたときのラケット角度ではなく、
フィニッシュに向かう途中の角度(かぶせた角度)でボールが飛び出すため、
スピード、飛距離は十分ながら、ネットミスをしてしまうことがありました。
やや慣れが必要だと思いますが、慣れてしまえば硬質・高反発スポンジから
繰り出されるスマッシュは「強烈」の一言!
まるで「ペン表速攻」の選手のようなパワフルスマッシュを打つことができます。
ドライブ型の選手でもスマッシュを打ちたくなる、そんなラバーです。
■ツッツキ・ストップ・ブロックなどの守備技術について
ツッツキの回転量でも、明らかにパワーアップしていることが分かります!
何気なくツッツキをしていても、相手がネットミスをすることがかなりありました。
これまでの藍鯨U同様、長く速いツッツキで相手をつまらせ、
つないだところをカウンター、という戦術がかなり効果的だと思います。
ただし、これまで以上に「長く速いツッツキ」でラリーが終わってしまうこともしばしばです!
しかし、ツッツキで圧巻だったのは「どんなボールでもツッツキできる」ということです。
一般的にツッツキと言えば、相手が下回転のボールを出してきたときに使う技術です。
しかし、この藍鯨U(国チーム用)は相手が横回転や上回転を
出してきたとき(特にサービス)でさえ、軸をずらし、
上から下に切り落とすように回転をかけることにより、
ブツ切りのツッツキをすることができました!!
藍鯨U(国チーム用)の回転力が相手のサーブの回転力を
上回ったからこそできた芸当です。
横回転や上回転のサービスを出した場合、
レシーブは上回転系(フリック、ドライブ等)のボールで返球されるのがほとんどです。
そこに、ブツ切れのツッツキで返球されればどうなるか?
結果は言うまでもありません!
また、「ツッツキがある」と思わせることで判断が遅れ、
フリック・ドライブ等もさらなる効果を発揮します。
藍鯨U(国チーム用)なら、そんな「トッププロ」のような
戦い方が可能になるのです!!
1つ注意点を言っておくと「切ってストン」が気持ち良いため、
どうしても必要以上に切ろうとしてしまいます。
その結果、ミスが増えてしまうので、
「必要以上に力んで切ろうとしない」ということが大切です。
大丈夫、力まなくても十分切れてます!
もちろん、ストップもやりやすかったです。
切る・切らないの変化もつけやすく、回転量も十分でした。
ただし、どうしても相手の回転の影響を受けやすいため、
回転が分かりくいサービスをストップするのはかなりリスキーです。
それがアップ系のサービスの場合、間違いなくボールが浮き上がり、
即失点につながります。
そのような場合は無理をせず、ツッツキで確実にレシーブし、
ラリーを組み立てるほうが良いと思います。
また、切ろうとしたり、短く止めようとしたりするあまり薄くとらえすぎた場合は、
スポンジの反発力が生かされないためネットミスをすることがありました。
慣れるまでは、やや厚めにとらえたほうが良いかもしれません。
ブロックでは、止めるブロックはもちろん、変化ブロックもかなりやりやすかったです。
スポンジが軟らかいとは言え、そこは中国ラバー。
相手のボールの威力に押されるということは、まず、ありません。
ガッチリと隙のないブロックをすることができます。
また、反発力を生かし、カウンターブロックをしても
気持ち良いくらい相手のコートにボールが突き刺さりました。
特に、バウンド後の伸びが素晴らしく、
ボールのスピード以上に相手がつまることが多かったです。
野球で言う「ジャイロボール」のような感じです。
名付けて「ジャイロブロック」!!
クリーンヒットは打たせません!
もちろん、サイドスピンブロックの変化幅も尋常ではないのですが、
ジャイロブロック以外で特に印象に残っているのは、切る、カット性のブロックです。
相手のボールに対して、切り落とすようにブロックすると短く、
緩いボールで返球できます。
緩いと言っても、回転量は十分!
名付けて「チェンジアップブロック」!!
フルスイングは思うツボ!
相手の連打を封じ、甘くつないできたボールを狙い撃ちにすることができます。
ツッツキもそうでしたが、個人的にはこの藍鯨U(国チーム用)は、
相手の回転は無視し「下回転」にしてしまうという技術がやりやすいような気がします。
やはり、シートの粘着力の強さと、
スポンジの硬さ(柔軟性)・反発力のバランスが良いのだと思います。
守備的技術さえも楽しいぞ藍鯨U(国チーム用)!!
■サービス・レシーブのスピード・回転量・コントロール性について
サービスも非常にやりやすかったです。
ショートサービスをするときにはシートの回転力が生かされ、
ロングサービスをするときにはスポンジの反発力が生かされ、
どちらも非常にやりやすい!
球持ちが良いため、自在にコントロールできるのも強みです。
威力あるサービスを安定して出すということは、
簡単そうに見えて意外と難しいものです。
ジュース、あと一本で追いつく、終わらせるという競った場面…。
団体戦ラストまでもつれ込んだ緊迫の場面…。
今使っているラバーで、勝負をかけるサービスを出せますか?
つい、安全に入れにいってしまいませんか?
もちろん、そのような場面で強きかつ冷静に
サービスを出すには日々の練習が1番です。
1、2回のマグレはあっても、練習なくしてコンスタントに
精度の高いサービスを出すことはできません。
しかし、もし自分の力量以上に飛ぶ道具を使っている場合は、
いくら練習をしてもなかなかサービスの精度は上がりません。
卓球はスピードの速さを競う競技ではなく、
相手のコートにミスなく返球する確実性を競う競技です。
自分の扱える範囲で正しい道具を選ぶということも、
上達のためには必要です(もちろん、ころころと道具を変えるのは論外ですが)。
オーバーミスが多いという人はこの藍鯨U(国チーム用)を試してみてはどうでしょうか。
藍鯨U(国チーム用)ならできる!
また、回転量はもちろんですが、ボールに「重さ」があるようです。
相手が不用意な角度でレシーブをしたときはもちろん、
相手のラケット角度に関係なく回転で「持っていく」ことができました。
ただし、薄くとらえすぎた場合はストップ同様
ネットに届かないということもあったため、注意が必要です。
レシーブでも前述の通り、やや癖はあるもののドライブ、ツッツキ、ストップと、
どの技術をとってもかなりやりやすかったです。
すべての技術に共通して言えることは、「しっかり回転をかける」ということです。
しっかり回転をかけていけば、相手の回転に勝てます!
しかし、適当に当てにいくだけだと、確実に回転の影響を受けてしまいます。
常に回転をかけるためには、高い集中力と積極性が必要不可欠です!
その他の技術で特に好印象だったのはフリックです。
安全に入れにいくための「のせるフリック」も、
決めにいくための「かけるフリック」も、
両方やりやすかったです。
威力、コントロールともに申し分なし!
のせるフリックではナックル気味になり、
かけるフリックでは十分に回転がかかっているという回転差も、
相手にとっては、やり辛かったようです。
弾くフリックに関しては、タイミングを合わせ、
しっかり手首を使うことができないとボールを持ってしまうため、
やや飛び出しが遅くなることがありました。
感覚をつかむまでは「のせる」と「かける」で組み立てたほうが良いと思います。
もちろん、この2つのフリックができるだけで、
相手にとっては脅威だと思います。
■メリットについて
これまでの藍鯨Uも、スピード・回転・コントロールという、
ラバーに求められる要素を高いバランスで兼ね備えている完成度の高いラバーでした。
しかし、この藍鯨U(国チーム用)は、
その藍鯨Uの総合力の高さを何倍にも高めた汎用性があります!
その性能の高さが最大の魅力だと思います。
■デメリットについて
従来の藍鯨Uに比べ、粘着力が強くなった分「中国ラバーらしさ」が感じられます。
中国ラバー愛好者ならば問題はないと思いますが、
テンション系からの移行では違和感があると思います。
後は、今後も継続して入荷することができるのか、ということが最大の不安です。
■こんな貴方にお奨めしちゃう
多くは語りません。
もっとスピードを出したい、もっと回転をかけたい、もっとミスを減らしたい、
もっと試合で勝ちたい!
もっと強くなりたい!!
そう思う人はレベル、戦型を問わず1度使用してみてください。
あなたが求めている「もっと」の答えはここにあります。
(2009/7/3)
藍鯨U(国チーム用)(黒/2.20mm)はこちらのページから購入可能です。
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